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ツイブロ

求人広告のライターが、ブラック労働や就活、人材業界周辺のことなど、日常のあれこれをツイーっと書き込んでいるブログです。心に残るヘリクツをお届けします。

相棒の視聴率が下がったのは、杉下さんがブルブルし過ぎるから。

サブカル サブカル-テレビ

http://purple.noblog.net/blog/p/11479633.html
2013年秋ドラマ視聴率ランキング

毎年、秋のドラマは良作が多くて、
ついついドラマをたくさん観てしまう。

僕が観ているのはこの4本。

リーガルハイ2
相棒12
ドクターX2
ダンダリン

ダンダリンを除いて、
いずれも人気のシリーズばかり。

しかし、中でも、
かつては20%越えしていた相棒の視聴率が
15%台にまで落ちてきている。

これはいち相棒ファンとして
「分からんでもないなぁ」というところ。
(これまでのシリーズも全て視聴済)

でも、僕は相棒が極端につまらなくなったとは思わない。
ただ冷静に物語を分析したときに、
最近のシナリオからはごっそりと抜け落ちた要素があるな、
とも感じている。

それはミステリーとしての要素だ。
アリバイとかトリックとか、犯人の犯行当日の動きとか、
殺人モノとしての基礎的なところに、重きが置かれなくなってしまった。

最近の事件はだいたいこうだ。

⇒やむにやまれぬ理由があって殺人を犯してしまう。
⇒その場で思いついた偽装工作。
 ラッキーなことに目撃者はおらず、隠蔽もひとまず上手くいく。
⇒杉下が真相に気が付く。
⇒杉下が犯人に説法。

構造を単純にしないために、犯人以外の第三の人物を立てて
思惑を交錯させることで、事件を複雑化させてはいるが、
正直、観ていて「解き明かした感じ」はしない。

相棒は、いつのころからか、社会派ドラマになってしまった。

今シリーズで言えば、食品偽装、就活をテーマにしたのが分かりやすい。
他にも冤罪やネットを絡めた犯罪など、
「いま」を鮮やかに切り取った作風が増えてきたように感じている。

トリックなど、過程のところを考えるのを辞めてしまって、
最後に杉下さんが、どんな風に気持ちいい説教をしてくれるか、
ってことばかりに意識がいってしまっている。

良い意味でも悪い意味でも、水戸黄門化してきたなという感じ。

最後に杉下さんがブルブル震えながら犯人に説教するシーンを観て、
視聴者は溜飲を下げるということなんだろう。
確かに僕も、こういう話が大好きだし、よくやった!と手に汗握ることも事実だ。

でも、ドラマの構造として、これではマズい。

相棒は本来、
「メイン:本格刑事モノ」+「サブ:杉下の説教臭さ(社会派)」
で成立していたのだ。

刑事モノとしての足腰(本格刑事モノ)の要素が弱くなってしまうと、
だんだん企画モノのドラマに近づいてきてしまう。
(ケータイ刑事とかそういうの)

企画モノのドラマをB級足らしめているのは、
意図的に本流を外した作りにしているせいだと思うのだが、
相棒もそうなりつつある。

何というか、もはや事件が起きなくても
杉下さんが最後にブルブル説教すれば(もしくは「残念ですねぇ」的な哀愁を漂わせば)、
ドラマとして成立するんじゃない?みたいなところが出てきてしまった。

視聴者の感想は基本的に、面白かった部分(見どころ)について褒める。
だから、見どころを成立させるたに必要な土台の素晴らしさまで言及する人は少ない。
相棒も、ラストの犯人を問い詰めるシーンばかりがクローズアップされた結果、
過程の見せ方がおざなりになっているのではないかと思う。
テーマありきで(たとえば就活について書くぞ!って感じで)、
事件が二の次になっている気がするのだ。

今シリーズで言えば、4話の「別れのダンス」は、それが顕著だった。
心のちょっとしたすれ違い、相手を想う不器用な心を描くことには成功しているが、
事件単体で見ると相当お粗末な内容だった。

もちろん、その心理的な部分の重なりによって、
事件が事件として成立しているというプロットは複雑だし、
上手いとも思うのだけど、
本来サブ的な要素である方向に軸足がいき過ぎている感は否めない。

昔の、っていうと老害な感じだけど、
昔の相棒は事件の骨太さと心の機微の描写が両立していた回が多かったように思う。

いまの相棒は、もはや杉下が刑事である必要性を感じない。
その点が、一部の視聴者を遠ざけた原因ではなかろうか。


リーガルハイ2は、相棒と真逆。
もともと直情径行な分かりやすいカタルシスがウケていたのに、
羽生という不純物を登場させることで、妙な葛藤を与えてしまった。
古美門のやり方に全面的に乗っかれなくなったことで、
視聴者は、斜に構えて見ざるを得なくなったのがつらい。
(以前の橋本市長は支持しやすかったが、
いまの橋本市長は支持しにくい、みたいな感じかw)

もちろんこれも、
シリーズの中ではきっと必要な展開だし、ストーリーとしての面白さもあると思う。
でも、ストレス解消のために、
娯楽として見るにはちょっと体力のいる感じになってしまったのは事実だ。
黛と羽生、古美門の三角関係も、観る側に気を遣わせる要素になっている。
実際僕も、1のときの方が気楽に観れた(面白さとは、また別)。


そしてドクターXも、真逆。
これは変化が良い方に出た。
元々、大門未知子の女医のキャラが立っており、
1話完結の痛快な内容だったところに、「プチ白い巨塔」要素がマッチして、
シリーズ全体としても、見応えのある背骨になり得る話が走り出した。
で、これの良いのは、背骨の話に対する大門未知子のスタンスが第三者的であること。
リーガルハイ2では、背骨にあたる話に古美門が完全に噛んでしまっているが、
ドクターXではそれが弱い。あくまで一匹狼の大門未知子というキャラが立っており、
それゆえに安心して見られる。視聴までの心理的なハードルが低い。
(重い話が他人事として描かれていることで、いくぶん見易い。つまりバランスがいい。)


ダンダリンは典型的なスルメ作品だった。
一番視聴率が高かった一話が、一番つまらなかった。
指導される経営者側の事情に触れられることなく、一方的な行政指導が下された感じ。
相棒でいうところの、悪人側の論理が描かれていないため、
薄っぺらな印象を受けてしまった。
ただ、回を追うごとに段田凛の人となりが理解できてくると、
指導係の南三条が、段田に理解を示していくのと同調して、
視聴者であるこちらも段田のことを好きになっていく
(ただの変人という印象が薄くなっていく)。
労働監督官が正しいことをしようとしている、
という理解で物語を見れるようになってくると
(ある意味で、一方的な偏った視点ではあるけれど)、
視聴の滑り出しが良くなって面白くなってくる。
背骨にあたる胡桃沢との関係も、回を増すごとに主張してくる感じで、
適度な緊張感を与えてくれてるのが面白い。


シリーズ作品には常連視聴者がいて、
それぞれ「自分の好きな、観たい角度」みたいなものがあるように思う。
対して、制作者は「同じ展開ばかりだとダメだしな…」と
プロとしてサービス精神を発揮する。
そのすれ違いが、視聴率の上げ下げに影響しているのではないだろうか。
僕もそうだけど、視聴者って、
作り手の想像以上に「ベタ」が好きってことなんだろうなぁ。

 

にしても、
自分が面白いと思ったドラマの視聴率が低いと、
世間とズレてるのかと思って、ちょっと凹む。
ダンダリンは、後半もうちょっと視聴率伸びると思ったんだけどなぁ。
個人的に、竹内結子さんの演じる不器用キャラが好きってのもあるけど。