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ツイブロ

求人広告のライターが、ブラック労働や就活、人材業界周辺のことなど、日常のあれこれをツイーっと書き込んでいるブログです。心に残るヘリクツをお届けします。

「帝国ホテルですら時給1000円」ではなく、「帝国ホテルだから時給1000円」と考えるべき。

考え方 考え方-人材


ぼくたちは働くことで何を得ているのか。

労働の対価は給与だけだろうか。

 

その答えが、帝国ホテルのアルバイトの時給が1000円であることに現れている。

 

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労働により得るモノは、金銭だけではない

たとえばディズニーランドもおそらくそうだが、そこで働く人にとって時給の高低はそれほど問題ではない。お金のために働くのなら、もっと割のいいバイトはいくらでもある。

 

「ディズニーランド」や「帝国ホテル」は時給とは関係ない価値観で、アルバイト先として選ばれているわけだ。

 

それはネームバリューによる安心感かもしれない。ブランド力による憧れなのかもしれない。あるいは、アルバイトという気軽な立場でありながら一流のサービス現場を体感できるという学びの観点からかもしれない。

 

帝国ホテルのアルバイトには、時給1000円の内には納まりきらない付加価値がある。

 

だからこそ、時給1000円でも、それがアルバイトという雇用形態であったとしても、平均以上のハイレベルな人材を集めることができているのだろう。

 

 

安い時給で働かせている、という視点は第三者のエゴ

カフェ⇒時給950円

居酒屋⇒時給1200円

 

求人広告を掲載した場合、どちらの方が、アルバイト応募者が集まるだろうか?下手すればカフェの方が数倍の応募者が集まってしまうだろう。

 

第三者は「安い時給で働かせて酷い」と思ったとしても、実際に働く人からすればその金額に納得して働いているのだ。

 

カフェでオシャレに働きたいと考える人にとって、居酒屋の時給950円が「ありない」としても、カフェの時給950円は「納得の範囲」となる可能性が高い。

 

アルバイトなんて辞めようと思えばいつでも辞められる。それでも安い時給で働き続けるのは、その仕事や職場環境に魅力を感じているからに他ならない。

 

ディズニーランドで働くキャストがより時給の高い居酒屋に転職したとして、ディズニーランドの仕事で得られていたときほどの充実感や優越感を感じることができるだろうか。数百円の時給とひきかえに、失うものが確実にあるわけだ。

 

もちろん次の職場(居酒屋)でも新たに得るものがあることは否定しないが、元キャストはそれに満足できるだろうか。現実はできるのかもしれないが、そうは思えないからキャストを続ける選択をするのではないだろうか。

 

貧困などの社会問題を除いて、いまの日本において「安い時給で働かされている」なんて現象は、絶対にない。そう感じたら、働く人にはいつでも退職する自由があるのだから。

 

少し前に寿司屋の下働き(修行)が無駄という議論があったけれど、あれも同じで、下働きするだけの価値がある一流店なら修行システムは受け入れられるだろうし、たいしたことない寿司屋が同じことをやったら、ホリエモンに無駄と一蹴されたことが現実になるだけのことだ。

 

ぼくたちが外から見て感じている以上に、現場の若い人たちはシビアにそのあたりを見極めていると思う。たとえばテレビにもよく出ている名店「久兵衛」で修行したと言えば、実際、それだけでブランドだから。

 

そこでしか得られない技やブランドがあるなら、ハードな下働きも割に合うってことなんじゃないかな。修行を精神論的に捉えている若者はいないだろう。損得勘定をしたうえで、下働きのほうが結果的に得だと判断していると思う。

 

 

アルバイトでも一流のおもてなしができるからこそ、同一労働同一賃金が実現し得る

アルバイトだから一流のサービスができない、という決めつけは、同一労働同一賃金の考えから遠ざかる考えだ。

 

それはスキルの面だけを指すのではなく、志においても同じ。アルバイトだから芸能人の宿泊情報をツイッターに呟いてしまう、と考えるのは安易ではなかろうか。

 

同じような状況に直面しても、いちサービスマンに徹するプロ意識の高いアルバイトスタッフもきっといるはずだ。というよりそっちの方が大多数だろう。

 

宿泊者情報の取扱いについては、どちらかと言えば採用選考や従業員教育、職場環境のほうに問題がある事案だろうとも感じる。

 

まぁとはいえ、現実問題として、正社員にはアルバイトの見えない部分で色々なミッションが課せられているために、「同一労働同一賃金の導入=バイトと正社員の給与がイコール」とはならないと思う。

 

でも少なくとも、アルバイトがサービスしているからダメだとか、帝国ホテルがバイトにサービスを任せているのか…がっかり、といった思考が蔓延しているうちは、同一労働同一賃金の導入はできないだろうなぁ。

 

 

途中、すこし話が脱線してしまったけれど、帝国ホテルの時給が1000円なのは、むしろ帝国ホテルのすごさを象徴している結果だろうと思う。

 

帝国ホテルでならば時給1000円でも一生懸命働こう、というロイヤルティの高い人々がいるのは素晴らしいし、入社したアルバイトたちに一流の教育をほどこせる仕組みを構築しているからできることでもある。

 

不人気業種が高時給で人を釣ることしかできない状況とは対極。スタッフを相場より低い報酬(低い待遇)で雇用するのは、魅力ある企業(または仕事)にしかできないことだ。

 

帝国ホテルが時給1000円でスタッフを募集している事実を知り、「たった時給1000円で一流のサービス求められるのブラックすぎ」と考えるのか「チャンスだから働いてみよう」と考えるのか。

 

もし、これを読んでいる学生の人がいたならば、ブラック企業を恐れるあまり、自ら成長の機会を逸してはいないかと胸に手を当て考え直してみて欲しい。アルバイトは就活と違って、気楽に失敗できるのが利点だ。