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相棒 season16 感想まとめ|1~5話

毎年楽しみにしている相棒。

今シーズンは備忘の意味もこめて、毎話感想を書いていこうと思います。

ネタバレ無視して書きますので、未視聴の方はご注意ください。

 

5話「手巾(ハンケチ)」感想

警察官役の南沢奈央

第5話「手巾(ハンケチ)」|相棒 season16|テレビ朝日

 

いつも警察の不祥事ばかり描いているから、たまには警察をヨイショしておくか、という意図で作られた警察へのサービス回でした(笑)

という冗談はさておき。

 

警察官学校で起きた転落事故と23年前に起きた事件とのつながり。

そして、転落事故の被害者である樋口教官とその娘で警察官である真紀(南沢奈央)との関係。両者の関連が事件解決の糸口になっていくという展開。

 

今回は犯人の姿がほとんど出てこないんですね。事件の顛末自体は、とてもあっさりと説明されています。一方で、色濃く描写されているのが樋口教官と娘である真紀との関係。

真紀の父への想いが、タイトルにもなっている「ハンケチ」という小道具を通じて、象徴的に描かれます。

 

今回のシナリオはドラマ性を強調するために、意図的に犯人捜しの優先度が低く書かれていたのが特徴的でした。

途中、真紀が樋口を突き落とした容疑者候補に挙げられるのですが、父の話をしながらハンカチを握りしめる真紀を見た杉下さんは、芥川龍之介の短編「手巾」を引き合いに出しながら、

 

「彼女はハンカチを、ちぎれんばかりに握りしめていました。――もし彼女が突き落とした犯人ならば、娘としてあえて悲しむふりをするでしょう。机の下でハンカチを握りしめたりはしませんよ。」

と、珍しく抒情的な推理を披露。真紀に対して、いとも簡単に「シロ判定」をくだします。

 

怪しい人物は、いつもなら最後まで容疑者候補としてストックしておくのが常なのですが、あえてそうしていません。おそらく視聴者に、怪しむことなく安心して真紀の心情に共感してもらうためなのでしょう。

目論見はうまく成功していたと感じます。最悪の結末が回避され、僕は肩の荷がおりた心地がしました。

おかげさまで、以降はリラックスモードで視聴。父と娘の不器用な親子愛。心温まるストーリーを堪能できました。

 

真犯人は警察学校の生徒であり、23年前に樋口教官が逮捕できなかった犯人の息子であるという結末。

 

病床の樋口に、真紀は語りかけます。

 

「あなたが断ち切ることのできなかった犯罪によって、今回また、命を落とした人がいる。――あなたは教官失格です」。

 

父親の教官への復帰に、引導を渡す真紀。厳しい言葉を投げかけながらも、ちぎれんばかりに握りしめられるハンカチ。

それは罪悪感を感じながら教官を続ける苦しみから、父親を解放せんがために出た、厳しくも愛情あふれる言葉です。

 

教官としてあえて厳しい言葉を生徒に送り続けてきた樋口と、父を思う故に厳しい言葉を投げかけた娘の真紀。

親子の会話を通じて、教官の志が未来に引き継がれていくことが暗示されます。

派手さはありませんが、静かに心に染み入る回でした。

 

 

4話「ケンちゃん」感想

コンビニ店員役の西井幸人

第4話「ケンちゃん」|相棒 season16|テレビ朝日

 

冒頭。コンビニでアルバイトする森山健次郎(西井幸人・写真右)が殺害されます。手にはダイイングメッセージと思わしき「中」の文字。

 

久々にミステリ風味の相棒が見られると期待したところが、ふたを開けてみるとダメな相棒のテンプレにぴたりとハマる、ハズレ回でした。

こんなに酷い回はいつ以来だろう。ちょっと記憶にないくらい酷い。相棒史に残るダメ回と言っても過言ではありません。

 

ストーリーというのは、複雑にすればいいってもんじゃないと思うのですよ。

今作では、これだけの要素が矢継ぎ早に登場します。

 

  • 森山が実はサヴァン症候群で数学の天才であるという設定。
  • 森山がもぐりで講義を受けていた大学の教授。
  • 森山の兄は企業経営者。
  • その企業に勤める女性に森山は恋をしていたが、フラれてしまう。
  • 一方、その女性と兄は恋人関係である。
  • 森山は殺される数ヶ月前、印刷所に勤めていた。
  • 杉下警部は印刷所の聞き込み時に、大学の入学案内を見かける。

 

これだけの伏線を張り巡らした結果が何かといえば、

 

  • 教授のアシスタントを務めていた講師が、不正入試の手引きをしており
  • 講師が森山の兄にブローカーを名乗り、森山に入試問題を盗ませようとした
  • しかし森山は良心がとがめ、盗んだ問題をわたすことを拒む
  • 森山の兄から入試問題を入手できなかったと連絡を受けた講師(ブローカー)は、殺害現場となったボーリング跡地に森山を呼び出し、問題を教えるよう迫る
  • その場で、森山は問題をノートに書き写し解こうとするが、実は問題に欠陥があることが判明。混乱した森山は手のひらに「∅」の字を書く。
  • 問題の間違いを指摘する森山。講師は問題の欠陥に気づけず、そのことが講師のプライドを傷つけ、逆上した講師は森山を殺害。
  • 講師の不正入試関与の動機は、自分の力が認められず何年も助教授にもなれず講師に甘んじていたこと
  • 一方、兄は兄で、見下していた弟の思わぬ才能に嫉妬し、恋人を略奪し、森山に犯罪の片棒を担がせることで、森山の数学者になる夢を閉ざそうとした。

 

複雑なばかりで、味わいのない結末です…。

 

ダメな回の相棒は、毎回決まってテーマがブレてるんですよね。

今回で言えば、

 

「大学講師の劣悪待遇という社会問題」

「承認欲求をめぐる人間の業」

「ある日、突然に才能に目覚めた者を取り巻く周囲の変化」

 

各テーマごとに1話作れそうな大問題が、同時に3つも登場しています。

 

60分の短時間で要素が多すぎるがゆえに、設定を都合よく糊付けしたような展開にしかできないのです。

一見すると、整合性はとれているように見えますが、そもそも講師が問題を盗む手段として、わざわざ森山君を使うことに、このシナリオの致命的な欠陥があるんです。

 

大学の講師なんだから、給与の安さを理由に入試問題を盗むなら、もっと簡単に盗む方法はあったはずです。わざわざまわりくどい手段をとりすぎです。

森山君への嫉妬ゆえに講師が森山君を"あえて"利用しようとしたにしても、今度は、森山君の兄が会社経営に行き詰ってお金を必要としてることを、講師がなぜ知ることができたのか不明です。

設定を複雑にしすぎたがゆえに矛盾が生じています。

 

さらに兄の銀行口座に、そこいらのATMからお金を振り込むなんてのも、あまりに不用心で間抜けです。最初から捕まる覚悟の犯行に思えます。が、一方で殺人自体はその場の衝動的なものという…。

兄は兄で、弟に嫉妬して犯罪行為を強要したり、意中の女性を略奪したりするし…。で、これがブラフとしての伏線回収になっているという…。

 

もうめちゃくちゃです。

話の整合性をとるために人の感情が捻じ曲げられており、その捻じ曲がった感情を最後に、

「兄弟というものは時として、本人たちにしか分からない、複雑な感情をもたらすものなのかもしれません(by杉下)」

とかいって、名ゼリフ調でまとめられても、納得感がまったくない!

 

 

兄弟間の嫉妬という要素をまるっと取っ払って、「大学講師の待遇の低さ」と、

「才能を持ちながらフリーターに身をやつしていた若者(ある日、才能に目覚めた若者)」の2軸にしぼって物語を整理し直せば、良作以上の脚本になっていた予感がします。

 

なぜなら、

講師⇒ある程度、機会に恵まれ順調に階段をあがってきたが、途中で挫折した人

森山⇒ずっと取り柄のない人間として人生を過ごしてきたが、ある日、才能に目覚めた

というキレイな対比が成立するので、描き方如何では両者が際立つ可能性があるからです。

ま、机上論なので実際に脚本を書くとなれば、そんなに簡単にはいかないと思うんですけどね。でも、素人目にはとても惜しい回に思えます。今回のシナリオは、物語に登場した講師の人生のようです。

間違いのもとは、ちょっとしたボタンのかけ違えです。でも、少しの狂いが明暗をくっきり分けてしまいました…。

 

3話「銀婚式」感想

地味ながら味わい深い回でした。

脚本が太田愛さんの回は、個人的に嗜好が合うなぁと感じています。

 

銀婚式をひかえた夫婦(川野太郎と菊池桃子)。

菊池桃子が資産家の令嬢で、川野太郎が婿養子という設定。

川野太郎と菊池桃子

第3話「銀婚式」|相棒 season16|テレビ朝日

 

大筋だけ見れば、夫婦仲に不和があり妻が夫を殺害した、というだけのよくある構図なのですが、なぜ殺人に至ったのか、その動機についてひとひねりあるのがミソでした。

 

妻は、夫の不倫に気づきます。事故死に見せかけて殺害するために、車椅子に夫が細工したことも知ります。夫の殺意にも気づきました。

でも、犯行に及んだ動機はそのいずれでもありません。

 

夫が車椅子に細工したことを知ったときに、25年前、自分が半身不随になるきっかけとなった落馬事故にも夫の作為があったことを悟ってしまったことが、犯行の引き金となりました。

 

最後の杉下さんと犯人のやりとり。

杉下:「タクミさん(夫)の殺意に気づいたとき、なぜ話してくれなかったのですか。あのときに話してくれていれば、その後のすべてが変わっていたはずです」

犯人:「私は自分が何をしたのかわかっています。愚かだと思われるでしょうが、25年間、ずっと信じてきた愛情を、法律で裁いて欲しくなかったんです」

 

人間の感情の複雑さが見事に描かれた脚本にうならされました。

不倫は現在のもので、車椅子への細工も現在のものです。

でも、25年間の落馬の件だけは許せなかった。もしも落馬の原因が夫の故意によるものであったとしたら、自分が信じてきた25年間の結婚生活や夫への想いすらも偽物になってしまうから…というわけです。

 

最後、ちょっとだけ苦言も書いておきますと、車椅子の力で男性が転落するほどにラグを引っ張れるのかとか、転落したから死ぬわけじゃないぞとか、そんな簡単にタイミングよく眠らせる薬って何だよ?とか、(不倫を知るきっかけになった)インターフォンの映像はそんなに長時間見れないんじゃないの?とか。

事件を成立させるためのギミックは、ことごとく粗いんですよね。

 

ミステリ要素を重視する人には、目を覆いたくなるような部分も多々ありましたが、人間ドラマ重視の僕にとっては満足の第三話でした。

 

 

1話「検察捜査」・2話「検察捜査~反撃」感想

前編・後編になっていた1話・2話。相棒のスペシャルは駄作率が高い、というジンクスを初回から打破してくれたのは嬉しいですね。安心して見られる内容でした。

 

ただ、個人的には初回スペシャルにして欲しくなかった内容です。

これは毎度のことですが、相棒のスペシャル版は単なる事件捜査のシナリオじゃないんですね。事件と並行して警視庁内の権力争いや陰謀の線も走るのが慣例となっています。

 

今回、僕にはその陰謀の線がとても邪魔に感じました。

というのも事件の方のシナリオがなかなか味わい深かったんです。そっちをメインで重点的に描いてもらいたかったと思ってしまいました。

 

歪んだ嗜好をもつ犯人(中村俊介)は、事故に見せかけてこれまでに「妻」を3人殺害しているのですが、3人目の殺害に関する証言だけが、どうもはっきりしないという筋書きでドラマが進んでいきます。

ところが終わってみれば、1人目・2人目は計画殺人であったが、3人目は突発的な事故であった、というあっさりした結末。なんだかいつもの相棒らしくありません。 

 

僕は、お目付け役の顧問弁護士(中村ゆり)が、3人目の殺害に深く関与している、なんなら真犯人だ!くらいの期待をしながら見ていました。

中村ゆり|相棒16

第2話「検察捜査~反撃」|相棒 season16|テレビ朝日

 

犯人が彼女を庇うような格好で、3番目の事件が発生(もしくは露呈)してしまう、という人間臭い展開に期待していたのですが……。

 

今回は、警視庁内の権謀術数めぐらす権力争いを描く方にかなりの尺が割かれており、事件捜査はダイジェスト的な扱いでした。まぁこれはこれで、いつもより展開がよく整理されていて良くできた話だとは思ったんですけどねー。

 

相棒のどの部分に面白みを感じているか、によって評価が分かれる初回スペシャル前後編でした。

僕は犯人を取り巻くヒューマンドラマが好きで見ている派なので、事件がオマケ扱いされている今回の展開には、少し物足りなさを感じてしまいました。

 

 

★6話以降も加筆していきます。

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